最高裁判所第一小法廷 昭和37(あ)1443 決定
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
被告人A、同B、同Cの弁護人中込・尚の上告趣意第一の(一)は、事実誤認の
主張であり、同(二)は、憲法二九条一項違反をいうが、一審判決ならびに原判決
は、本件没収の対象たる反則貨物がD株式会社の所有である旨の判示をしておらず、
むしろ被告人Aと被告人Bとは、個人の立場からEと共謀し、本件反則物件の密輸
をなし、関税の両逋脱を図つたものである旨の判示をしているものであることが明
らかである。原判決の引用する一審判決の冒頭に、被告人名が「D株式会社を経営
していた」云々の判示があるのは、単にAとBとの関係を説明した事情に過ぎない
と認められ、右の判示から本件物件がD株式会社の所有であることが推認できると
の主張は、到底首肯することはできない。されば違憲の主張は、前提を欠き、その
余は単なる法令違反の主張である。また同第二は、事実誤認、単なる法令違反の主
張であつて、以上のいずれも適法な上告理由に当らない。
被告人Fの弁護人渡辺留吉の上告趣意第一は、憲法三一条違反をいうが、実質は
事実誤認、単なる法令違反の主張であり、同第二は、単なる法令違反、事実誤認の
主張(所論各点に関する原審の判断は正当として首肯できる)であり、いずれも刑
訴四〇五条の上告理由に当らない。
よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
昭和三七年一一月一五日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 高 木 常 七
裁判官 入 江 俊 郎
- 1 -
裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 斎 藤 朔 郎
- 2 -